「カピタン・アラトリステ」シリーズと映画「アラトリステ」の背景知識と翻訳裏話


by KATO Kosei Ph.D
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カテゴリ:地理( 4 )

 ごく一部で6巻の邦訳を期待する声がありますけれども、現状ではあり得ないでしょうねえ。そうだなあ、よほどの有名人がマスコミで宣伝してくれて、大量増刷がかかるくらいの事件が無いと・・・。

 さてその6巻ですが、隊長とイニゴ17歳の移動経路はナポリ→メリリャ→オラン→マルタ島だそうです。
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by waka_moana | 2009-05-21 08:32 | 地理

坂上がりマドリ

 5巻はまたマドリッドでの(淫靡な)冒険活劇なんで、なんとか通りとかなんとか広場を地図で探す日々が続いています。

 隊長が某親友と女の取り合いで殺し合いをしたのは、1巻や2巻で舞台になった旧市街の南の方ではなく、もう少し北。アルカラ通りとグラン・ヴィアの間をひょろっと繋ぐ短い通りでした(地下鉄の最寄り駅はセビージャ)。イニゴくんが彼女と深夜のデエトをしたのもグラン・ヴィア沿いのエリアですね。

 そんな時たまたまテレビで見たのがNHKの「ふれあい世界街歩き」のマドリッド編。面白かったですね。なんせマヨール広場からトレド通りに入ってずっと道を南に行く映像があったんで。これ、要するに「マヨール広場から隊長の下宿の方に行く」ってルートです。例の居酒屋はトレド通りにありますから。

 それで驚いたこと。マヨール広場からトレド通りって一目で判るくらい下り坂になってるんですね。番組中で説明されてたんですが、もともとマヨール広場はちょっとした丘の上なんだそうで。あの周囲の建物の土台は実はマヨール広場に持った土を支える土留めの役割を果たしているんだとか。

 へえ~。

 これでやっと解ったですよ。原文だとトレド通りを「上る」「下る」って表現が頻出するんですが、「上る」がマヨール広場方面行き、「下る」がトレド行きですね。
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by waka_moana | 2007-07-02 10:14 | 地理

愛人(その1)の故郷

 アラトリステ隊長の華麗なる女性遍歴の中でも作中で最初に登場する(時系列上は確認出来る限り2番目)の愛人、「レブリハのカリダ」姐さん。

 5巻では色々とご活躍なのですが、この方の故郷ってどこかいなと思って検索してみたら、安直にもウィキペディアに画像が並んでいました。

 セビージャの南郊、グアダルキビル川沿いの町だそうです。歴史は古く、紀元前にフェニキア人がやって来て建設した町の一つだとか。

 関係無いのですが、先週の土曜日にとある宴会に呼ばれて行ったら、日本の大学の大学院で日本仏教の研究をしているというバレンシア人男性がおりました。「カルタヘナってどんな所ですか?」と聞いてみたら「何も無いです。」だって。
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by waka_moana | 2007-04-23 17:27 | 地理

スペイン街道を行く

 今日は「街道を行く」シリーズです。

 スペイン街道。

 司馬遼太郎さんの有名な紀行文集の中の一冊ですね。ご存じですか?

 嘘ですけれども。

 司馬さんの書かれたのは『南蛮のみち』。バスク地方からマドリッド、トレドと辿ってタホ川沿いにポルトガルへ抜けるというルートでした。しかし「スペイン街道」は違います。これは三十年戦争当時、戦略上きわめて重要な陸路でした。

 思い出してください。当時のスペインの領土。ヨーロッパに限れば南イタリア(ナポリ、シチリア)、北イタリア(ジェノバ、ミラノ)、そしてネーデルラント南部。地図を開けばすぐわかりますが、イタリアなんてのはバレンシアやバルセロナから東に向かって船を出せば安直に到達する、目と鼻の先なんです。しかも、船というのは古今、大量の物資を最も安価に輸送出来る手段ですからね。オスマン・トルコやコルセール海賊、あるいはヴェネチア海賊が跳梁跋扈するとはいえ、まあなんとか海路を確保出来る範囲内ということで、スペイン本国とイタリアの連絡はさほど苦しくなかったようです。

 ところが、これが地中海を出ると話が違う。イベリア半島からネーデルラントに行くのであれば、セビージャとかカディス、あるいはリスボンからイベリア半島沿いを北上して、ガリシアからビスケー湾を横断してドーバー海峡。そこを抜ければダンケルクは目と鼻の先です。しかし、ドーバー海峡なんてのはイングランドやオランダの艦隊が手ぐすね引いて待ちかまえておりまして、当時既に海戦能力ではこれらの国々に遅れを取っていたスペインには分が悪い勝負でした。なんせオランダなんて一時は陸上から叩き出されて船団国家だったくらいですからね(「海乞食」と呼ばれました)。

 そこで出てきたのが次のようなルートです。まず本国で編成した部隊はジェノバまで海上輸送されます。そこでイタリア上陸。北上してミラノを通過し、コモ湖から北東へ。ヴァルテリーナ渓谷という谷間を抜けてアルプスを越える。この辺りは当時はプロテスタントの領主が持っていたのですが、住民はカトリック中心だったのでこういうことが出来たのです。

 ヴァルテリーナ渓谷からアルプスを越えてオーストリア国内。ここはもうハプスブルグ家の領土ですから、まあ親戚の家の庭ですな。オーストリアからはアルプスを逆に下ってバイエルン地方へ降ります。そこからライン河を船で下れば放っておいてもネーデルラントまで行けちゃう。

 これを「スペイン街道」と呼んだ。

 2巻の最後でマドリから遁走した隊長とイニゴくんが辿ったのもこの道筋です。いやはや何とも遙かな道のりではありますな。
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by waka_moana | 2006-11-03 23:45 | 地理